あらすじ

ある文豪は、長く病に蝕まれた末、その生涯を終えた。 意識が途絶える間際、彼は人生とはつくづく不可解なものだと思った。 だが次に目覚めた時、彼を待っていたのは冥土ではなかった。 見渡す限りの異様な森、石と土で築かれた粗野な集落、耳慣れぬ言語、鼻をつく獣臭。 そして何より、己の身体が変わっていた。 小さく、醜く、緑がかった皮膚。鋭い爪。低い背丈。 鏡の代わりに水面へ映ったその姿は、どう見ても人ではない。 ――ゴブリン。 物語の中ではしばしば最弱にして卑劣、討たれるために存在するような醜怪な亜人である。 かくして文豪は、異世界にて最下層の魔物として第二の生を始める。 人間として生きた頃には理解できなかった“弱者の論理”を知り、 蔑まれる者たちの世界を見て、 やがて人間と魔物のどちらにも属しきれぬ異端として、この世界の歪みを記し始める。 その手に剣はない。 あるのは、観察する眼と、言葉だけである。

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カクヨム
カクヨム2026/03/21
  • 現在の作品吾輩はゴブリンである