あらすじ

冬だけの契約で、辺境伯の妻になった。 春の祝祭が来れば婚姻は解消される。それだけの約束だった。 薬師のロッテは、父に道具扱いされた王都を離れ、極北の辺境伯領で流行り病を鎮める仕事に就く。夫のコンラートとは暖炉を挟んで事務的な報告を交わすだけの日々。 なのに彼は、ロッテが寒がりだと知ると黙って薪を増やし、薬草採取の帰りには必ず門で待っていた。業務報告書の追伸に「味も悪くなかった」と書いてくる。 雪解けが始まった朝、ロッテは祝祭を待たずに荷造りを始めた。春が来てしまったら、ここを離れる理由を自分に説明できなくなる。 この辺境伯が黙って足した薪には、契約書のどこにも書かれていない理由がある。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/03/21
  • 現在の作品春を待たない花嫁