あらすじ
駆け落ちの約束を破られ、恋人を殺してしまった光。
そこにお月様によく似た女の子が現れる。
明らかに怪しいのに、信じちゃいけないのに、どんどんほだされていく光。
そんな光に、女の子はとんでもない真実を告げる。
「君の両親は本当の親じゃない。君の両親は月にいるよ」
満月の夜の、狂った月のような百合小説。
どうぞ、最後まで。
【電撃用あらすじ】
恋人である瞳を殺した木下光が、深夜の公園でひとり、茫然としている。そこに現れたのは、明らかに場違いな女の子。光は最初は女の子を警戒するも、次第にほだされていき、気づけば泣き顔までさらす。女の子はそんな光に寄り添ってあげる。
ひとしきり泣いて落ち着いた光は、女の子と打ち解けて話を始める。女の子の名前は「光」というらしい。「光」はとんでもない話をし始める。「光」は光が生まれた時からずっと見守っていたという。そして光は、自分の出生の秘密を知る。
自分をネグレクトしていた親は本当の親ではなく、光は月人(げつじん)だというのだ。にわかには信じがたい話だが、「光」の話しぶりはあまりにも堂に入っていて、光は信じてしまう。
光が、それなら何故今更、と言うと、「光」はこう言う。
「この話を僕が受けたのは、僕が君を愛しているからだよ」
あっけにとられる光。そんな光をよそに「光」は話を続ける。光が地球にいるのは、月にいる光の本当の親と木下夫妻との子供の入れ替えによるものだという。光は、それでは取り換えられた木下家の子はどうなったのか、と問うと、「光」は言いづらそうに、もう死んでいると答えた。やるせない思いが胸に広がる光。
傷心の光に「光」は、歪んだプロポーズをする。自分のうちにこないか、と誘うのだ。しかし光は、腹をくくっていた。自分が殺してしまった、愛を教えてくれた瞳のため、愛を知らずに月で死んだあの子のために、地球に残って罪をつぐなうというのだ。吹っ切れたためか、スッキリとした顔の光。
しかし「光」は許さなかった。「光」は力づくで光を連れて行くことにしたのだ。薄れゆく意識の中、光は瞳とあの子に詫びる。
そして、後にはお月さまに照らされる夜の公園が残るばかりだった。