あらすじ
川と海と線路に囲まれた、行き止まりだらけの街。住民たちが好んで使ったのは、そのすべてを跨ぐ、蜘蛛の足のような歩道橋だった。
子供の頃、大型車が通るたびにグラグラと揺れるその場所は、疎遠になった幼馴染の少女と、ごく稀にすれ違う「ドキドキする場所」でもあった。
数年ぶりに訪れたその場所で、ヨットハーバーは倉庫に変わり、街の景色は様変わりしていた。けれど、変わらない蜘蛛脚の歩道橋を渡る足取りは、あの頃と同じように心細く揺れる。
もうどこにも居はしない少年と少女の面影を、変わり果てた景色のなかに探してしまう、心象スケッチ。