あらすじ
鋭い観察眼を持つ天野蒼は、クラスの誰が誰を好きなのか、誰が誰に嫉妬しているのか、誰が笑顔の下に別の感情を隠しているのか——それが、見えてしまう。
その能力のせいで、蒼はクラスで「気持ち悪い」と思われていた。いつも誰かを観察していて、でも誰とも関わろうとしない。物語の外にいる観察者。それが天野蒼という人間だ。
ある月曜日の朝、クラス一の美少女・橘柚希が、突然学校に来なくなった。
クラスメートたちは「突然だった」と言った。
でも蒼には、突然には見えなかった。
先週の一週間、彼女に七つの前兆があった。笑顔の質が変わったこと。教科書を忘れたこと。窓の外を五秒以上見ていたこと。そして金曜日の帰り際、靴箱の前で一人立ち止まっていた、何かを覚悟したような顔。
蒼だけが、気づいていた。