あらすじ
『10年目の断捨離 ―寄生夫、あなたの居場所はもうどこにもない―』
十年分の朝が
静かに、同じ場所で目を覚ましていた
同じ声
同じ靴下
同じ「まだ?」
そして、同じ沈黙
あなたは言った
「誰のおかげで食えてると思ってる」
私は知っていた
その言葉の空洞を
その声の軽さを
その“外面”の重さを
あなたは積み上げていた
信用ではなく
見栄と借金と、他人の成果
私は積み上げていた
レシートと
ため息と
終わりの準備
気づかれないように
一枚ずつ剥がしていった
あなたの顔を
あなたの居場所を
あなたの「当然」を
証拠は、静かに光る
怒鳴り声も
割れた音も
すべて、逃げ場を失っていく
ねえ
あなたは知らなかったでしょう
沈黙は、従順じゃない
我慢は、同意じゃない
ただ
“終わりを選ぶ力”を
育てていただけ
最後の日
あなたは言った
「俺がいなきゃ生きていけないだろ」
私は、はじめて
何も怖くなかった
差し出した紙は
軽かった
十年よりも、ずっと
寄生していたのは
どちらだったのか
答えはもう
あなたのいない部屋にある
朝が来る
音もなく
責めることもなく
ただ、明るい
それだけで
もう、十分だった