あらすじ
エルメリア王国の公爵令息ルシアンは、あらゆる言語を瞬時に理解する天才的な翻訳官。
しかし、オメガであるという理由だけで正当な評価をされず、第一王子ジュリアスからは身に覚えのない罪を着せられて婚約破棄、そして国外追放を言い渡される。
激しい雨の森で力尽きようとしていた彼を救ったのは、隣国ガルディナ帝国の若き皇帝マルコだった。
「お前の能力は、帝国の繁栄に不可欠だ」
冷徹と恐れられる覇王にその才を見出され、ルシアンは次第にその凍えた心を溶かしていく。
一方、ルシアンという唯一無二の頭脳を失ったエルメリア王国は、急速に衰退の一途をたどることに。
焦った王子が「戻ってこい」と泣きついてくるが、時すでに遅し。
世界最高の覇道を行く皇帝陛下は、最愛の翻訳官を二度と手放す気はないようで――?
【登場人物紹介】
◆ルシアン
エルメリア王国の公爵令息で、二十歳のオメガ。
一度聞いた言語を瞬時に理解し、古代語や複雑な他国語の翻訳も完璧にこなす類まれな能力を持つ。控えめで優しい性格だが、芯の強さを秘めている。
◆マルコ
ガルディナ帝国の皇帝で、二十五歳のアルファ。
強大な軍事力と豊かな経済力を持つ大国を治め、冷徹な覇王と恐れられている。実際は思慮深く、一度身内と認めた者には情に厚い。
◆ジュリアス
エルメリア王国の第一王子で、二十一歳のアルファ。
ルシアンの元婚約者。傲慢で自己中心的な性格をしており、他者の努力を軽視する傾向がある。
◆ミハイル
男爵令息で、十九歳のオメガ。
計算高く、愛らしい容姿を武器にして他者に取り入るのがうまい。ジュリアスに近づき、ルシアンを陥れるための罠を張る。