あらすじ
42歳、元ITエンジニアの坂口諒は、会社を辞め、築80年超の古民家を裏山ごと捨て値で買い、田舎暮らしを始めた。
YouTubeチャンネル「さかぐち、田舎に住む」の内容は田舎暮らしとDIY、そして気づけば十数匹が住み着いた野良猫たちの日常——のはずだった。
裏山の朽ちた祠を自分の手で修繕したあの日から、一匹の黒猫が居着いた。真っ黒な毛並みに金色の瞳、そして三本の尻尾。昼間は縁側で寝そべり、呼びかけても尻尾をパタンと揺らすだけ。諒はその猫を、ただ「ネコチャン」と呼んでいる。
コメント欄には今日も霊障の相談が飛び込んでくる。諒は毎度「ほな、祠にお願いしておきますね〜」と返し、お供物を持って裏山へ向かう。するとなぜか解決する。諒は知らない。ネコチャンが、しかたないにゃあと眷属を飛ばしたり、自らささっと片付けてきたりしていることを。
田舎暮らし系チャンネルのはずが、なぜか霊障も解決する。視聴者はなぜか諒の居場所を特定できない。害虫も害獣も、なぜか寄り付かない。
「なぜか」だらけの日常を、諒はだいたい気づいていない。ネコチャンは今日も縁側で、尻尾をパタンと揺らしている。
やがて、ネコチャンを取り巻いて、大きな事件へとつながっていく…