あらすじ

『おれはいつか強くなって、優しくてカッコいい、本物のヒーローになるんだ!』 誰もが憧れる「強くてカッコいい、優しいヒーロー」 一色薫もまた、そんなヒーローに憧れた少年の一人だった。 しかし現実は残酷で、両親の離婚や妹・桃華のいじめによる引きこもり、自分では変えることのできない理不尽な現実の前に、その憧れは早々に打ち砕かれる。 俺は無力だ。臆病で、最低な人間だ。どうしようもない人間だ。ヒーローなんかにはなれない。だからせめて――― 「俺が、桃華を幸せにする」 そう誓い、そのためだけに生きるようになった。 そんなある日。 不器用な性格と外見によって、周囲に不良と誤解され、煙たがられていた薫。そんな彼の前に、難病を抱える転校生・天ノ目紗月が現れる。ひょんなことから、薫は彼女と関わりを持つようになる。 天ノ目との出会いをきっかけに、桃華は兄離れを決意し、幼馴染の菜月は想いを告げる。 そんな彼女達との日常を経て、薫は少しずつ人に頼ることを受け入れ始める。 「もう、信じて見てもいいのかもしれない。俺ではなく、こんな俺を信じてくれたみんなを」 そして彼は「ここから先は俺の人生だ」と決意し、二人を誘ってクリスマスを迎える―――はずだった。 クリスマスケーキを買いに行った帰り道。クラスメイトを庇って、薫はあっけなくその生涯を終える 死後の世界から、自分の死に涙し、それでも前を向こうとする彼女達を見て、やっと薫は理解する。 ――俺の幸せを、願ってくれていたのか。 ヒーローに憧れ、ヒーローを諦め、それでもそうとしてしか生きられなかった少年。 その変わらない優しさの純度こそが、本物のヒーローの証明になってしまった。 本物のヒーローとは? 本当の優しさとは? それは、一色薫の在り方である。 驚くほどに不器用で、悲しいほどに本物で、だからこそたまらなく愛おしい。 そんな優しい彼を否定できる唯一が、 世界の色は――――幸せの色、一つでいい。 ※この世界にエゴでも自己満足でも偽善でもない、誰も否定できない『本物のヒーロー』は存在し得るのかという疑問に対する検証実験のつもりで描きました。 薫ちゃんの不器用で痛みに満ちた人生を通して証明された『本物は確かにこの世界に存在したのだ』という事実が、不安を抱える誰かの救いになれば幸いです。

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小説を読もう2026/03/20
  • 現在の作品世界の色は一つでいい