あらすじ

目を覚ました瞬間、自分の指先が青白く光っていた。 見覚えのない天蓋が、知らない朝日に照らされている。 身体を起こすと、右の掌に複雑な紋様が刻まれていた。 魔法陣だ。 それも、私が三年かけて設計した——まだ誰にも見せていないはずの、あの陣。 呼吸が浅くなる。 部屋を見回す。豪奢な調度品、見知らぬ家紋、重い絨毯。 枕元に、一通の封書。 震える手で開くと、婚姻届の写しと短い手紙が入っていた。 「今後あなたの研究成果は、フェルゼン公爵家の資産として扱われます」 あの日を思い出す。 論文を提出した翌朝、指導教官に呼び出され、差し出された杯を飲んだ後の記憶がない。 (……ああ、そうか) 私は、奪われたのだ。 研究も、名前も、この身体ごと。 手紙を丁寧に折り直し、便箋とペンを探した。 まず、状況を整理しよう。 泣くのは、全部取り返してからでいい。 掌の魔法陣が、静かに脈打っていた。

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小説を読もう2026/03/20
  • 現在の作品嘘つき花嫁は王宮で真実を暴く ~捨てられた研究者が最強の魔法陣で成り上がるまで~