あらすじ
戦争から312年が経った。
汎用家事アンドロイドのアネ(EA-07型)とルカ(EA-08型)は、地下のカプセルで眠り続けていた。
育ててくれた老婆イレーネの言葉を胸に——「旅に出て、新しいご主人を探しなさい」——二人は廃墟の世界へ踏み出す。
かつて栄えた都市は、植物に覆われ、静まり返っていた。
人間の姿は、どこにもなかった。
でも、機械は動いていた。
300年間、誰も通らない道を整備し続けた重機ロボットのシロ。
誰にも食べられない作物を育て続けた農業ロボットのハチ、ムギ、クサ。
停戦命令のないまま任務を続けていた軍用機のカナタ。
施設の棚に147年挟まっていた点検機のマル。
世界を観測し続けた管理AIのソラ。
それぞれが孤独に、それでも止まらずに、誰かを待ちながら動き続けていた。
アネとルカは旅の中で機械たちと出会い、繋ぎ、そして人間を見つけていく。
東の盆地、南の海岸、北の山岳地帯、廃都市——少しずつ、孤立していたものが輪になっていく。
止まることは、終わることじゃない。
見られることで、存在は現実になる。
作ったものが残ることで、その人は続いていく。
これは、300年後の世界を歩く2台のアンドロイドと、孤独に動き続けた機械たちの、静かな旅の物語。