あらすじ
瀬戸内海に面した坂の町、尾道。
入り組んだ路地裏の奥に、迷い込まなければ決して辿り着けない不思議な店がある。
毎月十二日にだけ開店するその店の名は。
「せとうちマヨヒガ食堂」
そこへ訪れるのは、なぜか人生に迷い、心に深い傷を抱えた者ばかり。
店主は何も問わず、ただ一皿の料理を差し出す。
瀬戸内の恵みを使った料理は、牡蠣、くわい、小鰯など、その季節ごとの旬の味覚。
客はその料理を食べながら、自分の人生と向き合うことになる。
最初の客として迷い込んだ青年もまた、心に傷を抱えた一人だった。
出された一皿を拒否した彼は、店の不思議なルールで住み込みの店員になる。
こうして彼は一年の間、毎月十二日に一人ずつ訪れる「迷い客」と出会い、料理を通して人の心がほどけていく瞬間を見届けることになる。
やがて迎える十二人目の客。
それは彼のよく知る人物だった。
人を癒す料理とは何か。
この店と店主の正体とは……?
瀬戸内の食と人情が織りなす、十二の物語。