あらすじ
気がつくと、俺は見知らぬ天井を見上げていた。
……ああ、またやっちまったのか。
前世の俺は、大手広告代理店系列のWeb制作会社で、毎日が炎上案件との戦いだった。
クライアントの「やっぱりここ、明日までに直せます?」は日常茶飯事。
気づけば終電、気づけば徹夜、気づけば心が死んでいた。
逃げるように独立して、個人事業主としてWebディレクターを始めたものの──
結局、金のために働きすぎて、本当に死んでしまった。
そして転生した先が、この異世界だ。
特別なスキル? 魔法? そんなものは一切ない。
俺に与えられたのは、食堂の皿洗いの仕事だけ。
まあ、前世よりはマシだ。残業もないし、クライアントもいない。
そんなある日だった。
冒険者ギルドの倉庫で、埃をかぶった“旧文明の遺物”を見つけたのは。
「……これ、パソコンじゃね?」
黒い箱。見覚えのある端子。
そして、壁に張り巡らされた謎のケーブル群。
異世界の誰も使い方がわからず、何百年も放置されていたらしい。
だが、俺にはわかる。
これは、ネットワークだ。
前世で散々振り回された、あの忌々しくも懐かしい相棒。
──そうだ。
この世界のダンジョン情報をまとめた“攻略サイト”を作ればいい。
魔法も剣もない俺でも、Webなら戦える。
異世界の冒険者たちを、情報の力で支えるんだ。
こうして俺の第二の人生、いや第二の“Webディレクター人生”が始まった。