あらすじ

魔王と勇者は、何度でも出会う。 それは運命などではない。世界が繰り返されているからだ。繰り返すたびに魔王は死に、勇者は次の周回へと進んでいく。誰もそのことを知らない。世界の誰一人として、気づいていない。 ――ただ一人、魔王を除いて。 何千回もの記憶を抱えたまま、魔王ヴェルは今周回も目を覚ます。また始まった、と思う。今回も何も言わずに終わるつもりだった。 そこへ現れた勇者は言った。 「私は貴方を殺さない」 何千回の記憶の中に、その言葉はなかった。 なぜそんなことを望むのか、理由を言わない。でもその目は、何かを決意している者の目をしていた。 二人の間にある秘密が、少しずつ、形を変えていく。王国軍が迫り、魔王の城が戦場になっても、二人はまだ、本当のことを言えずにいる。 言えなかった言葉が世界を壊した。言えなかった言葉のまま、世界は何千回も終わった。 それでも、終わらせたくない朝が、来ようとしていた。 「何千回も世界が終わった。でもお前だけは、終わらせたくない」

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小説を読もう2026/03/20
  • 現在の作品きみが死なない、その朝まで