あらすじ
俺は、幼なじみの天才女優の背中を追いかけていた。
彼女の名前は、羽田朝香。
テレビに映る彼女は完璧で、誰もが憧れる存在だ。
そんな朝香は、なぜか俺にだけ厳しかった。「まだまだね」「次、期待してるから」という言葉を、俺は何度も朝香から浴びせられていた。
でもきっと、それは朝香が俺に期待してくれている証拠。
小学生のときに告白して、「演技で勝ったら付き合ってあげる」と言われた。
だから俺にだって、彼女と肩を並べるチャンスはあるはず。
と思っていたが現実は厳しかった。
出演したドラマの主題歌〝ぼくんち冒険たい〟を歌い、大ヒット。
歌ばかりが求められて、演技の仕事は減っていった。
母親は金に狂い、家庭が崩壊したことで父親は俺を罵った。
そして、俺の役者人生は、あっけなく終わりを迎えた。
だから俺は、芸能界を去ることにした。もう二度と、演技の世界には戻らない。
そして高校入学初日、普通の生活を始めようとしたのだが――
「翼が演技の世界に戻ってくるのを、ずっと待ってたの」
なぜか、朝香は俺が復帰すると信じていて……?
「み゛」
俺がもう芸能界に戻らないと告げたら、朝香は絶命寸前のセミのような声を出した。
※ざまぁ、曇らせ要素はそこまで露骨ではありませんので、ご了承ください。