あらすじ
露店営業の娘として生まれた景子は、幼い頃から土日祝日になると両親のワゴン車に乗り、日本各地の祭りを回っていた。テントを立て、机や椅子を並べ、コンロや鍋、くじ引き機械を運び、店が始まれば看板娘として客を呼び込む。店の合間には宿題をし、閉店後は深夜まで片付けを手伝う。友達と遊ぶ時間もない生活だったが、両親はいつも言った。「世の中には土日も働く人がいる」。警察や消防、電車の運転手、旅芸人、そして屋台の人々。人の楽しみを支える仕事だという教えだった。高校生になった景子は、祭りの世界から去った幼なじみの健太と再会する。彼もまた人生の遠回りを経て祭りに戻ろうとしていた。卒業の春、景子は自分の屋台を持つ決意をする。祭りの灯りの中で、人を笑顔にする仕事を受け継ぐために。日本各地の祭りを舞台に、人の営みと家族の絆を描いた青春物語。