あらすじ

三十二歳、無職。休職中の元会社員・小山内璃子。 明日、心療内科から精神科へ転院する――その理由は、適応障害ではなく「発達障害と複雑性PTSDの可能性」。 これまでの人生の違和感が、すべて一本の線で繋がる。 納得と同時に訪れるのは、「最初からこうだった」という逃げ場のない現実だった。 転院前夜、眠れずに歩いていた璃子は、古いトンネル脇の公衆トイレに迷い込む。 そこで聞いたのは、「コン、……カシ、……マ……」という不気味なノック音。 都市伝説――カシマさん。 信じていなかったはずの存在と対峙したとき、彼女が口にしたのは「恐怖」ではなく、あまりにも静かな諦めだった。 理不尽に傷つき続けた人生と、理不尽に現れる怪異。 その境界が曖昧になったとき、“呼ばれなかった名前”の意味が浮かび上がる。 これは恐怖譚ではなく、終わっていない人間の物語。

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エブリスタ2026/03/19
  • 現在の作品カシマさんは、私の名前を呼ばなかった