あらすじ

四十二歳、子どものいない主婦・由紀子。 うつ病療養中の彼女は、雨の日になると頭痛や倦怠感に苦しみながら、淡々と日常を過ごしていた。 精神病院の受診日。 不安定な天気、過敏な音、他人の気配――それだけで心は削られていく。 帰り道、病院裏の川の淵で彼女は「それ」と遭遇する。 水死体のような質感、異様な力、そして足首を掴む冷たい手。 ――河童。 引きずり込まれるはずだったその瞬間、彼女の口から出たのは「もう無理」という、あまりにも静かな本音だった。 すると怪異は、彼女を連れていかなかった。 恐怖よりも強く残るのは、「なぜ自分は選ばれなかったのか」という感覚。 満たされない日常と、奪うはずの存在。 そのすれ違いの中で見える、小さな“生きている理由”の物語。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
エブリスタ
エブリスタ2026/03/19
  • 現在の作品雨の日の淵で、私はまだ連れていかれなかった