あらすじ
中学二年生の藤咲燈子は、あるとき目が覚めると、自分が見知らぬ病室のベッドで寝かされていることに気付く。
医者の話によると、自分は父親の運転する車で事故に遭い、三年間眠ったままだったという。
両親はそのときの事故で亡くなり、親戚はいつの間にか蒸発していて、孤独と絶望に押し潰されそうになる燈子だったが、想いを寄せていた宗澤浩樹と奇跡的な再会を果たす。
喜び合う二人。しかし燈子が意識を保っていられるのは、一日のうち三時間ほどしかなく、彼女は徐々に互いに流れる時間の密度の違いに気付いてゆく──。
──タイム・ディファレンス
宗澤浩樹は燻っていた。夢を叶えるために進路を決めている友人や、両親との確執、何がしたいのか決めることさえ出来ない自身の優柔不断さに。
「こんなことをしている場合じゃない……」
いつしか口癖になっていた言葉を繰り返しながら、浩樹は今日も藤咲燈子の病室へ赴く。彼女は浩樹が唯一心を許した人間だったが、事故に遭ったために三年間眠り続けていた。
しかしあるとき浩樹が病室の扉を開くと、そこには起き上がっている燈子の姿があった。
信じられない奇跡に喜ぶ浩樹。しかし彼女の時間は浩樹よりも圧倒的に短く、三年前から停滞したままだった。
自分を取り巻く環境が有無を言わさず変化してゆく中で、動かない燈子との時間に、浩樹はいつしか安堵と同時に苛立ちを募らせてゆく──。
──タイム・ディスタンス