あらすじ
深夜の珈琲店【lapin】。
雨音と豆挽きの音だけが響くカウンターで、
速水雪兎(40歳)は静かに深煎りを淹れ続けていた。 ある雨の夜、
濡れたロングコートの男が再びドアを開ける。
灰原零(44歳)――15年前に別れた、かつての恋人。
「…一番苦いので。昔みたいに、焦げ目入れてくれ」 零の灰青の瞳に宿る影は、
速水の首に残る古い鎖の跡を疼かせる。
過去の支配欲、未練、そして決別したはずの熱が、
再び珈琲のように煮詰まり始める。 一方、琉棪(28歳)はハイパービジランスの視線で零を捉え、
速水の揺らぎを感じ取る。
零が絡む「影鎖」の事件が勃発し、
速水は琉棪を守るために体を張る。
鎖は切れない。
でも、繋ぎ直すことはできるのか――。言葉少なめ、視線と指先で交わされる熱。
焦げ目の入った珈琲と、ラムネの甘い痛み。
元彼の影が再燃する夜に、
速水は過去と今、どちらを選ぶのか