あらすじ

気がついたとき、篠崎香織は誰もいない病院の中にいた。 蛍光灯は消え、人の気配もない。声を出すことが昔からできない香織は、ただ廊下を歩くだけだった。 食堂のテーブルに、一本の温かい缶が置かれていた。誰かが、自分のためにそこに置いていった。そう感じた瞬間、香織は階段を上り始めた。 ここではない場所に帰るために。あの声を、もう一度聞くために。 言葉がなくても、そこにいることができる。手が空っぽでも、何かを渡せる。静かな世界の中で、香織は少しずつ、届けることを覚えていく。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/03/19
  • 現在の作品狭い世界にいる君へ