あらすじ
公爵令嬢レティシア・フォルヴェールは、王太子の婚約者として、誰よりも冷静に、誰よりも完璧に振る舞ってきた。
けれどその努力は理解されることなく、ある夜、王宮の大広間で突然の婚約破棄を突きつけられてしまう。
隣にいたのは、可憐で儚げな伯爵令嬢シャルメーヌ。
王太子は「君は完璧すぎて冷たい」と言い放ち、新しい相手として彼女を選ぶ。
公の場で恥をかかされても、レティシアは取り乱さない。
ただ静かに婚約解消を受け入れ、これまで自分が担ってきたすべての“支え”から手を引くことを決める。
すると少しずつ明らかになっていく。
王宮で自然に回っていた人間関係も、社交の流れも、細かな調整も――それらは決して当たり前ではなかったのだと。
一方その頃、北方を治める若き辺境伯カイル・ヴァルセインは、そんなレティシアの価値を正しく見抜いていた。
彼に請われて北方を訪れたレティシアは、そこで初めて、自分の考えや力がまっすぐ必要とされる喜びを知っていく。
失って初めて、その価値に気づいてももう遅い。
婚約破棄から始まるのは、転落ではなく逆転。
捨てられたはずの公爵令嬢が、誠実な辺境伯に望まれ、幸せをつかんでいく――
これは、静かにすべてを失わせる“じわざまあ”と、理解ある相手に愛される溺愛逆転ロマンス。