あらすじ
夜会で婚約を破棄されたアンナは、泣かずに一礼して広間を去った。
「三年間は、無駄だった」
その言葉を背中で受けて、誰にも見送られず辺境の修道院へ。
送られた先で出会ったのは、素性を隠した無愛想な男。
アンナは何も考えず、毎朝扉の前にスープを置いた。
──三年後。
「宰相の婚約者」として夜会に戻ったアンナの前に、
憔悴した元婚約者が現れる。
「あの時は、間違っていた」
言い終わる前に、隣の男が静かに前へ出た。
「妻に用があるなら、私を通せ」
アンナは元婚約者を見た。
怒りはなかった。恨みも、なかった。
三年間で、それよりずっと大切なものができていたから。
「殿下、私は今──とても幸せです」