あらすじ

佐保田薫(さほだかおる)三十二歳。

会社では“サボタサボる”と呼ばれている男だ。

デスクで寝る。
デスクの下でも寝る。
喫煙所のベンチでも寝る。
トイレの個室でも寝る。

とにかく、目を閉じればすぐ夢を見る。

だいたい食べ物の夢だ。
巨大ハンバーグに追いかけられたり、
回転寿司のレーンの上を滑走したり。

女っ気は一切ない。
趣味は睡眠。

そんな男がある日、仕事帰りに思った。

「静かで、堂々と寝られる場所ないかな……」

そうして辿り着いたのが、とあるBARだった。

薄暗く、静かで、妙に落ち着く店。

カウンターの奥では、得体の知れない“社長”が
「モニター募集」と書かれた紙を置いている。

何のモニターかは、よく分からない。

その横で茶をすすっていた爺さんが、ぽつりと呟いた。

「社長の薬はのぅ……使い方次第で天国と地獄に分かれるんじゃ」

佐保田は目をこすりながら言った。

「天国なら、いいじゃないですか」

社長は、にやりと笑った。

さて――

眠ることしか取り柄のない男は、
夢で天国を見るのか。
それとも、目覚めない地獄へ落ちるのか。

今回は、そんなお話。

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アルファポリス
アルファポリス2026/02/26
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