あらすじ
「アドリアナ、君との婚約は破棄させてもらう!」
貴族学院の卒業式。婚約者は妹ヒルダを抱き寄せ、高らかに宣言した。
「伯爵家の実務を担っていたのはヒルダだ。妹の功績を横取りするとは、君には失望したよ」
家を追われ、勘当されたアドリアナ。
だが彼女は動じない。伯爵家の実務、隣国との交易を一手に担っていたのは、他ならぬ彼女だったのだから。
隣国の第二王子レオナルドに招かれ、北方開発庁で才覚を発揮するアドリアナ。
港は栄え、税収は跳ね上がり、やがて彼女の名は北方を立て直した立役者として知られるようになる。
一方、彼女を切り捨てた伯爵家には破滅が迫っていた。
妹が燃やした引継ぎ書類。守られなかった契約条項。発生する保証金二割増しと延滞金。そして、王立通商監査院の正式監査。
半年後、血相を変えた元婚約者が北方へ乗り込んでくる。
「契約が停止したと聞いた。意地を張って嫌がらせをするのはやめろ!」
淡々と告げる彼女の答えはただ一つ。
「契約に情は不要です」
自業自得の結末を迎える者たちを背に、彼女は北方で新たな未来を築いていく。
それはやがて、公爵位と合理的な求婚へと続いていく。