あらすじ

志希という少女は、いつも何かを失っていた。 配信画面の向こうで笑いながら、ネットオリパに挑んでは負け、引き当てたはずのカードは詐欺や警察署の蛍光灯の下で消えていく。 「ママ、お金……」と情けなく手を伸ばし、胸の奥には小さな穴だけが残る。それでも志希は、どこか飄々としていた。 失うことに慣れすぎて、悲しむより先に笑いが出てしまうような少女だった。 ある夜、コンビニの棚の隅に、誰にも選ばれなかったパックがひっそりと残っていた。 志希はそれを手に取り、奇跡のようにレアカードを引き当てる。胸の奥に灯った光は、帰りのバスで落とした瞬間にまた消えた。 志希が肩を落としたとき、彼女の前にひとりの男が立つ。かつてカードゲーム界で“伝説”と呼ばれた存在だった。 男は志希の中に、かつての友の影を見つける。 志希はその視線に導かれるように、カードゲームの世界へ足を踏み入れる。 ルールは覚えられず、戦略も理解できない。それでも彼女は勝つ。 まるで運命が彼女の手を引くように、奇跡が続いていく。 周囲はざわめき、伝説の男は静かに目を細める。志希の背中に、父の残した何かが揺れていた。 やがて志希は、父がかつて敗れた“黒瀬”と呼ばれる人物と向き合うことになる。父が世界の頂点に立ちながら、ただ一度だけ届かなかった相手。 黒瀬は志希に、父が最後まで使うことのできなかった一枚のカードの存在を示す。 それは、すべてを失ったときにだけ姿を現す、絶望の底に咲くようなカードだった。 志希は静かに目を閉じる。彼女は人生で何度も“すべてを失う”瞬間を経験してきた。 だからこそ、そのカードが意味するものを誰よりも理解できた。 父が届かなかった場所へ、自分が歩いていくことを、初めて自分の意思で選ぶ。 世界大会の舞台で、志希は追い詰められる。 誰もが敗北を確信したその瞬間、彼女の中で何かが静かに燃え始める。 失うことを恐れない少女が、初めて“自分の意思で”未来を掴もうと手を伸ばす。 志希の物語は、運に翻弄され続けた少女が、運命そのものに向き合うまでの、ささやかで確かな成長の物語として幕を開ける。

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小説を読もう2026/02/26
  • 現在の作品オリパ配信者の志希ちゃんがカードゲームの世界大会で優勝する話