あらすじ

村に一つだけの教会で、少女マリーは祈りの言葉を学び、人々の苦悩に寄り添っていた。 貧困、病、暴力――小さな共同体の闇に、彼女は信仰をもって応えようとしたのだ。 やがて、その優しさと声の清らかさは村中の心を掴み、司祭の権威を脅かすほどになる。 嫉妬に歪んだ司祭が一線を越えたとき、マリーの内側で何かがほどける。 血の匂いと肉の味。罪のはずの感覚が、なぜか神聖に思えてしまう。 その瞬間から、彼女の信仰は少しずつ形を変え始めた。 事件の後、シスターたちは罰ではなく“役目”を与える。教会の地下――そこは隔離された病人と死者が尊厳もなく積まれ、腐臭と蟲のざわめきが満ちる場所だった。中央には六芒星に囲まれた寝台があり、継ぎはぎだらけの“器”が横たわっている。腐敗が進むほど淡く赤く光り、祈りと死が混ざり合うたび、奇跡めいた変容が起きるのだという。 伯爵家の令嬢を救うため、教会は結果を求めていた。救済の名のもとに、禁忌は正当化され、死は素材へと変わる。マリーは死体を拾い集め、縫い合わせ、切り分け、腐敗を“育て”ていく――それが天へと続く階段の一段になると信じながら。 だが彼女が捧げていた祈りは、本当に神へ向いていたのか。 赤い光が満ちるとき、救済は完成し、村は二種類の赤に包まれる。六芒星の赤と、人々が流す血の赤に。

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カクヨム
カクヨム2026/02/26
  • 現在の作品地獄から昇る階段は天へと続く