あらすじ
[梗概] 退屈な日常を生きている青年。音楽家になる夢も叶わず希望のない日々。楽器店のバイトも楽しくないし、音楽仲間の女子も界隈で出世していた。演奏の仕事でも歌手の言動に傷つき、もう夢を諦める寸前の青年。失意の中のある晩、荻窪駅で路上演奏家と出会い演奏の巧さに惹かれてゆく。演奏家も青年の才能に気づき友情の予感があった。後日バイト先で導かれるように不思議なギターを購入し、帰りに演奏家に見せるが様子がおかしい。演奏家は弾くことを拒否し、青年に忠告する。弾くなら家で、一人の時にと。仕方なく翌日に家で弾くと中からギター演奏に連動した怪物が現れた。恐ろしさに逃げ出して原因を探る青年。楽器店では手がかりもなく、望みは路上の演奏家のみ。聞くとその正体は”式神”であると告げられる。詳しいことを聞くために演奏家の営む楽器店を訪れるも珈琲を飲みレッスンを受け帰る。楽しかったが解せない青年はネットでも調べたが何もわからなかった。真相を究明すべくその夜の演奏家の路上ライブに向かう。いつも通りのライブに見えていたがギターの怪物を見てしまった青年は、演奏家の正体が見えるようになっていた。演奏家のギターから化け物が現れ、時間の流れが遅くなり、世界は白黒になった。乳白色の僧兵の姿をした化け物がギターに合わせて出現し動作する。それが式神だった。式神は観客に取り憑いている悪霊を見つけ、手で潰し、口中に飲み込む。青年の目には”殺戮”にしか見えず恐ろしい。目を背けていたが式神に祓われた怨霊の思念が見える。それは人々の悲しい想い出の記憶。悲しみが怨霊となり人に取り憑き不幸を呼び寄せる。式神はそれを祓い浄化するためにこの世にあること。音楽家が楽器を弾き音楽を演奏することで召喚されることを青年は体験を持って自得する。それを見せてくれた音楽家を尊敬した。演奏家は自分が「音陽師」であると明かす。それは平安時代にあった「陰陽師」と同じ流れをくみ、源博雅によって作られた音楽による闇祓いの技。鎌倉時代に滅亡したが日本の雅楽師に口伝され今に伝わっている。演奏家はその跡を継ぐもの。青年は共にその役目を果たそうと弟子入りをする。音楽と音陽による癒しと救済の物語が始まろうとしていた。