あらすじ
「貴様!!何しにきた!!!」――修行初日に先輩僧侶から投げかけられたのは、そんな言葉でした。
今から20年以上前。二十代の私は、福井県の山奥にある曹洞宗大本山・永平寺の門を叩きました。
そこは、千年以上も変わらぬ規律が支配する、日本でも屈指の厳しさを誇る修行道場。
週休0日、睡眠時間はわずか三時間。
発して良い言葉は「はい」の一言のみ。
一挙手一投足に「正解」があり、一ミリのズレも許されない。
世間の常識から見れば、それは紛れもない「ブラック企業」かもしれません。
しかし、時計のない世界で泥にまみれ、己の傲慢さと向き合った十五ヶ月間は、私の人生を根本から作り変える、かけがえのない時間となりました。
これは、ある新米僧侶が「お山(やま)」という名の究極の職場で経験した、理不尽で、厳しくて、でも少しだけ温かい仕事(修行)の記録です。
※公式企画「春チャレンジ2026」参加作品