あらすじ
「ねえ、聞こえる?」
みんなはどんどん『立派な大人』になって、昨日着ていた服を脱ぎ捨てるみたいに、自分を更新していく。上手な嘘を覚えて、適当な笑顔を身につけて。
でも、私は知ってるよ。
君の心の奥に、どうしても捨てられなかった『あの日』の自分がまだ隠れていること。
私は、17歳のままだ。
あの日、東京ドームの熱狂の中で時が止まってから、私の見た目も、心も、一歩も先へ進めなくなってしまった。
昼間はアパレルショップ『フォーサンブラントーキョー』で、嘘をつけない不器用な店員として大人たちの冷たい視線に晒され、夜は築五十年のボロアパート『メゾン・デ・レーヴ』で、猫型AIのグリッチと傷を舐め合う日々。
「お前は、彼らのエゴのゴミ捨て場なんだよ」
グリッチの鋭い言葉は、現実社会で摩耗し、自分を殺して生きるファンたちの悲鳴だった。
だから、私は歌う。
君が大人になるために殺してしまった、本当の君の代わりに。
これは、何者にもなれなかった私たちが、もう一度自分自身(エゴ)をクラフトし、再びあの東京ドームのステージへと駆け上がるための、共鳴の記録。
「さあ、君のエゴを、もう一度クラフトしよう」