あらすじ
完璧主義の王太子レオンハルトは、完璧な断罪劇を計画していた。
不実な婚約者ミレイユ・アステルを衆人環視の中で糾弾し、愛する娘セシリアとの未来を掴み取る——。
用意した証人は三名、突きつける罪状は五項目。演出は完璧、舞台は整っていた。
だが、晩餐会の幕が上がった瞬間、彼は異常に気づく。
どれだけ叫んでも、誰一人として彼を見ようとしない。
どれだけ命じても、誰一人として足を止めない。
「争いは、よくありませんわ」
その一言とともに、世界の理(ことわり)が書き換えられていく。
昨日まで忠誠を誓っていた騎士も、慈しんできた愛妾も、冷徹な父王も。
皆、空っぽの笑顔で同じ言葉を繰り返す「何か」に変貌していた。