あらすじ
六百年続いた天魔大戦後も、天界は白翼派と黒翼派の対立により内戦寸前だった。
そんな中、生命の樹から生まれたのは、純白の翼を持ちながら黒髪と血のような赤い瞳を宿す異端の天使、リリエンシャル。
彼女こそ、かつて自ら堕天し大戦を終結へ導いた『始まりの堕天使』、リリスの転生体だった。
傲岸不遜な主人格と、温厚な副人格を内包する少女リリスは、黒翼派の長ヴァルディスの忠誠を得て、天界統一という大望を掲げる。
だが、天界がひとつにまとまったとき、次に向かう矛先は魔界となる。
再び天魔大戦が勃発すれば、今度こそ両界は致命的な破滅へと至る。
自らが再び戦火の引き金になる未来を断つため、リリスは前代未聞の賭けに出る。
自ら魔界へ赴き、十三柱の大悪魔と交渉し、恒久的な不可侵と理解を打ち立てようというのだ。
天界の最新技術をもたらし、魔界の欲望と混沌に新たな娯楽と秩序を提示しながら、少女は静かに両界の価値観を揺さぶり、敵対を前提とした常識そのものを書き換えていく。
魔界への留学を終え、天界へと帰還したリリスは、争いをなくすという信念のもと、ついに天界統一を果たし、天王として即位する。
その直後、世界を蝕む『原初の混沌』が出現。リリスは五柱の大天使とともに再び魔界へ向かう。
両界を呑み込もうとする原初の混沌を鎮める代償として、リリスは長き眠りに落ちる。
目覚めを巡り暗躍する魔神ザルヴェインは、支配的で歪んだ執愛のもと彼女を魔神へと変質させようとする。
魔神化を迫られた彼女は葛藤の末、守るべき世界のため自らその力を受け入れ、神族へと覚醒する。
覚醒したリリスは、仲間たちとともにザルヴェインを討ち、両界はようやく長き戦乱の連鎖から解き放たれる。
かつて争いの火種となった堕天使は、今度こそ世界に均衡をもたらし、仲間の最期を見届けたのち、放浪の旅へと歩き出す。
これは、過ちを知る天使が、それでもなお世界を見守ることを選び続ける叙事詩。