あらすじ
結婚式の夜、夫は愛人の妊娠を告げました。
「この結婚は形式だ」と。
――ええ、存じておりましたわ。三ヶ月も前から。
伯爵家次男である彼は、婿入り後に子爵家を乗っ取るつもりだったようです。
ですが先に裏切ったのはそちら。準備はすべて整っております。
新婚旅行先の崖は、雨の日に滑りやすいそうですから。
こうしてわたくしは若くして未亡人に。
悲劇の花嫁として微笑むだけ……のはずでした。
けれど崖のあの夜、手を伸ばさなかったのは本当にわたくしだけでしょうか。
甘く危うい義弟の視線とともに、静かな復讐が幕を開ける。