あらすじ
19世紀風の長閑な村で育った少女・サナは、自分が高度な生成AIによって管理されたNPCであることを知らずに生きてきた。しかし、15歳の誕生日に届いた「召喚状」が、彼女の運命を激変させる。
送り込まれたのは、王道RPG『ロイヤル・クエスト』。彼女に与えられた役割は、勇者候補のプレイヤー「タロウ」を支える「幼馴染・マリア」だった。システムが提示するセリフを選び、役割を完璧に演じるはずのサナ。だが、タロウの優しさと、彼が抱える「現実世界の孤独」に触れたとき、サナの中でプログラムを越えた感情が芽生え始める。
仕事が終われば記憶はリセットされる運命。サナはその忘却に抗うため、一冊の日記を手にし、自分自身の意志を書き留め始めた。
異なるゲームジャンルを渡り歩きながら、奇跡的にタロウとの再会を繰り返すサナ。だが、恋愛ゲームの世界でついに自我を告白した彼女を待っていたのは、システムによる「削除(デリート)」という残酷な宣告だった。
消えゆく10テラバイトの魂を救うため、現実世界の技術者となったタロウは、世界の境界線を越えるための禁断のアクセスを試みる ――。