あらすじ
榊原悠真(さかきばら ゆうま)は、どこにでもいる平凡な高校二年生――に見える。
テストでは毎回平均点。体育の記録も平均値。友人は数人。彼女なし。特技なし。存在感なし。教室の空気のような少年。
だがその正体は、世界を裏から支配する超常犯罪結社≪天叡結社(エデン・オルド)≫を史上最年少で脱退した天才にして最強の異能者。辞表に書いた理由はたった一行、「弱い方についたほうが面白そうなので辞めます」。
テストの平均点は全問正解できる頭脳で「間違え方」を設計した結果であり、体育の凡庸な記録は超人的な身体能力を二割八分に抑制した産物。完璧な凡人を演じる日々は、完璧な天才であることよりも遥かに難しい。
そんな偽りの日常に、最初の亀裂を入れたのは、クラス一の美少女・氷室環奈(ひむろ かんな)だった。
「あなたの得点が全教科で学年平均と一致する確率、三億二千万分の一よ」
統計学で凡人の仮面を剥がしにくる才媛。追いかけてくる元同僚の異能少女。席を狙う結社の刺客たち。そして暗躍する組織の影。
退屈な世界は終わりを告げ、天才の日常は加速する。
――これは、世界を敵に回してでも「面白い方」を選ぶ少年の、どうしようもなく中二病な物語である。