あらすじ
1791年、ウィーン。天才作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、未完の『レクイエム』を遺して世を去った……。
だが二十一世紀、彼はハプスブルク医療財団が支配する「聖ミカエル国際メディカルセンター」の最深部で目覚める。
そこは、人間の精神をデータ化し、脳内にダイブして神経疾患を治療する電脳医療の極致。
現代医学のすべてが匙を投げた難病患者たち。
彼らの脳内に響くのは、絶望と狂気が奏でる【不協和音(ディソナンス)】
「あァ、耳障りだ。これほど汚い音が溢れている部屋で、よく平気でいられるな」
メスを捨てたヴォルフガングは、脳内インターフェース『OMNIBUS』を介し、患者の精神世界を「調律(オペ)」する。
彼が戦うのは、病ではない。世界を蝕む、終わらないノイズだ。
すべては、断片化され、電脳の海に散った最愛の妻・コンスタンツェを再構成するために。
神の耳を持つ天才調律師の、孤独で高雅な戦い(オペラ)が幕を開ける。