あらすじ
渋谷生まれの大学一年生・兵藤武は、義理の妹との距離感に悩み、思い切って一人暮らしを決意する。選んだのは、渋谷から一時間半もかかる下町・北千住。不動産屋に電話をかけると、担当者として現れたのは、タータンチェックのミニスカートに茶髪のショートカット——昔の後藤久美子に似た、可愛い女の子だった。
彼女の名前は田中美久。同い年の大学一年生で、不動産屋の娘。そして実は、かつてバイクのレディースを束ねた元総長だった。
物件を気に入った武を、美久は居酒屋「分銅屋」に誘い込む。元天体物理学者の女将・久美子が見守るカウンターで、ビール、日本酒、武勇伝。その夜のうちに美久は「一目惚れ」と告白し、翌日にはスノーボールのプレゼントで泣かせ、三日目にはヤンキーとの乱闘のさなかで「結婚してください」とプロポーズする。
展開が早すぎる。でも、美久の純情はまっすぐすぎるほど本物だ。
さらにかき回すのが、武の義理の妹・楓。水川あさみ似の長身美人で、「キスの練習台になって」と一年間武に迫ってきたツンデレの高校生だ。美久と楓は激突し、やがて奇妙な連帯を結び、居酒屋の女将、自衛官コンビ、元ヤンキー三人組がそれぞれに騒動へと乗り込んでくる。
北千住という下町を舞台に、元ヤンの純情、義理の妹の恋心、暴力団と半グレが跋扈する路地裏の日常が、コミカルかつ真剣に交差するラブコメ。「陰キャ」を自称する武が、気づけば誰よりも熱い人間たちに囲まれていく物語。