あらすじ
王都の外れ、森の入口に小さな花カフェがある。そこに暮らす蒼音は、貴族の娘でありながら聖女候補に立候補しなかった。そんな彼女は異世界からの転生者。前世では占い師をしていた。
この世界でもタロットを手に、人々の“選択”を静かに観ている。
王宮では、若い王子が次代の王として期待を集めている。だが彼はまだ知らない。父王が密かに退位を考えていることも、自分が母だと信じてきた王妃に隠された真実も。
王子の実母である先王妃は、かつて病に伏した。その療養中、妹が「姉の身代わり」として王妃を装い、公の場に立っていた。やがて姉は王宮を去る決意をしたが王妃が“いなくなった”ことは世に知られることはなかった。なぜなら、すでに妹が王妃として振る舞っていたからだ。真実を知るのは王と、その妹である現王妃だけ。
血の繋がり、秘められた恋、偽りの上に築かれた家族。父王は何を守ろうとし、何を手放そうとしているのか。
これは、秘された過去と赦しの先で、血ではなく“選び直す”ことで紡がれる王国再生の物語。未来は、まだ開かれている。