あらすじ
貧乏男爵家の令嬢エルマ・ロ・マリアベルは、17歳にして「婚約破棄のベテラン」となっていた。
5歳の頃の王太子ラライアスとの初婚約を皮切りに、実家の貿易失敗、相手の不倫、あらぬ暗殺疑惑……。数々の不運に見舞われ、婚約と破棄を繰り返すこと実に16回。
そして今日、中庭の公開の場で、第四王子アドベールから17度目の宣告を受ける。
「すまない、真実の愛を見つけてしまった」
聞き飽きた台詞に、エルマが抱いたのは怒りでも悲しみでもなく、「ようやく終わった」という乾いた安堵だった。
教育係の公爵令嬢(?)が茂みから飛び出し、「諦めないで!」と号泣する傍らで、エルマは冷静に未来を見据える。これまでは破棄の翌日には次の見合いが組まれていたが、もう限界だ。
「復讐なんて、そんな面倒なこといたしません」
エルマは、ドレスもヒールも売り払い、自らの足で歩き出すことを決意する。