あらすじ
空にヒビが入った時、佐藤(35歳・独身)は軽トラの荷台で缶コーヒーを飲んでいた。
バリバリと空間が割れる轟音と共に、禍々しい紫の雲が渦巻く。近所の黒猫・クロが「フニャッ」と気の抜けた声を上げた。
「……なんだ、演出か?」
割れた空から降りてきたのは、巨大な浮遊城――ではなく、「二頭身の縫いぐるみのような何か」だった。
それは地球の重力に引かれ、凄まじい速度で落下。佐藤の目の前のアスファルトに、まるで投げつけられた大福のように「ボフッ!」と音を立ててめり込んだ。
「ギ、ギギ……なんだこの星の重圧は……空気が、空気が重厚な鉛のようだ……!」
めり込んだ縫いぐるみ、フリル付きドレスをまとった何やら魔法の?杖??を持った、これまた二頭身の縫いぐるみのような質感の美少女(自称・魔王)が地面に頭から埋まっている。しかし、彼女は自力で這い上がることすらできず、地面に刺さったままだ。
佐藤はため息をつき、飲みかけのコーヒーをホルダーに置いた。