あらすじ
死に、天国へたどり着いたとある男。彼は驚いた。
自分が死んだという事実に対してではない。寿命をまっとうし、やるべきことはやり切り、人生に大きな悔いも残っていなかった。 家族や知人、弟子たちに見送られ、端から見ても満ち足りた最期と言えよう。
また、天国へ来られたことに驚いたわけでもない。人は皆、心のどこかで自分は天国へ行けると思っているものだ。もっとも、彼の場合は根拠のない自惚れではない。生涯を通じて人の役に立ってきたという確かな自負があった。
光に満ちあふれた天国の門をくぐるときも、彼は背筋をすっと伸ばし、深く一礼してから胸を張って堂々と歩いたものだ。
彼が驚いたのは天使に伴われ、神の間へと案内されたことだった。