あらすじ
東京の片隅に、年中無休、二十四時間ではないが元旦も嵐の日も必ず明かりが灯る場所がある。店名は**『喫茶店365日』**。
オーナーママは、宝塚のスターのような凛とした気品を纏う女性、冴子。彼女はコーヒー一杯に「今のその人に必要な言葉」を添え、訪れる客の背中を静かに押す。
夜になれば、ショートカットが似合うハツラツとした助手・美里が加わり、酒と笑い声が交差する賑やかな社交場へと姿を変える。常連の商社マン・佐藤をはじめ、夢を追う者、愛を失った者、人生の岐路に立つ者たちが、引き寄せられるようにこの扉を叩く。
本作の構成について
本作は、一話完結の**「読み切り形式」**で綴られる連作短編集です。
最大の特徴は、物語の章が日付(数字)の順番通りには語られないこと。
「第1話(1月1日)」の次に、数年後の「第179話(梅雨の嵐)」が語られたり、過去の「第284話」へと遡ったりと、時系列はバラバラに展開します。
それはまるで、冴子ママがレジ横のインデックスカードをシャッフルするように、**「その時のあなたに必要な物語」**から順にページがめくられていく構成となっています。
どこから読んでも、どの数字から手に取っても、そこには必ず誰かの切実な「日常」があり、読み進めるうちに点と点が線で繋がる、パズルを解くような不思議な読書体験をお楽しみいただけます。