あらすじ

「体だけでも、いいですよ」 そう言って、私は大好きな人の「都合のいい女」になった。 夏の夜の結婚式。 片思い相手の幸せに絶望した彼を、パーティドレスと塗りたての口紅で誘い出したあの日から、私の時間は止まったままだ。 季節は巡り、冬になった。 午後九時、彼からの無機質な呼び出し。 落とさずにいたメイクの上に、彼が一度だけ褒めてくれた色の紅を塗り直す。 それは私にとって、彼という「毒」に侵されないための予防薬。 窓の外に雪が舞い、世界が白く染まっていくなか、 私は、「春のあけぼの」を夢見ていいのだろうか。 ――夏からずっと、夜に囚われたままの二十八歳。 その執着と孤独が、雪月花に揺れる。

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エブリスタ
エブリスタ2026/02/24
  • 現在の作品【短編】春はあけぼの、口紅は効かない予防薬