あらすじ
『伽婢子』(寛文6(1666)年板)は、浄土真宗の僧侶である浅井了意(?-1691)作の仮名草子で、本作はその現代語訳です。
浅井了意は仏教だけでなく、神道、儒教の三教に通じている他、歴史書や歌道書も著す、博識な作家でした。
そんな了意が中韓の志怪小説などを主な原話として、本邦の地誌や歴史を舞台にして翻案したのが本書です。
収録話では「牡丹燈籠」が特に有名で、のちの芸能・文学に多大な影響を与えています。
異界来訪、幽霊との悲恋、天狗、鬼、奇病といった、後の怪異小説や怪談奇談でも取り上げられる話が多数収録されています。
漢詩を和歌に、学生の死霊を天狗に置き換えるといった、原話を感じさせない翻案は、本書の目的である唱導に叶っていると言えます。
拙い訳ではありますが、この名作に少しでも興味も持っていただけるきっかけになれば幸いです。
【参考文献】
・浅井了意著、江本裕校訂『伽婢子 東洋文庫480』 平凡社 1988
・瞿佑著、飯塚朗訳『剪燈新話 東洋文庫48』 平凡社 1965
・花田富二夫編『仮名草子集成 第五十一巻』 東京堂出版 2014
・松田修 渡辺守邦 花田富二夫編『伽婢子 新日本古典文学大系75』 岩波書店 2001
・飯塚朗 内田道夫 駒田信二訳『中国古典文学大系 39 剪燈新話 剪燈余話 西湖佳話(抄) 棠陰比事』 平凡社 1969