あらすじ
「合計ステータス120。……5年もやって、それだけか」
十五歳で誰もが『学園』へ入学する世界。平均ステータス150とされる中で、レイの数値はわずか「120」だった。
彼には生まれつき、他者に能力を分け与えるだけのユニークスキル『譲渡』が宿っていた。自分自身を強くすることのないその異能を、レイは一度も使うことなく封印し、五年間、ただひたすらに泥を啜るような基礎鍛錬を繰り返してきた。
岩を担いで山を駆け、拳を潰しては突きを放ち、意識が飛ぶまで己を追い込む。
周囲が魔法やスキルで効率よく成長する中、レイだけは「地力」のみでその数値を積み上げたのだ。
魔法の知識も、スキルの恩恵も一切ないまま、レイは学園の門を叩く。
「自分は平均以下の劣等生だ」と思い込む彼は、周囲に食らいつこうと、学園のカリキュラムを「死ぬ気」でこなしていく。
しかし、彼はまだ知らない。
五年間の極限修行で磨き上げた「120」という数値が、魔法という新たな力と出会ったとき、どれほど異常な精度と粘り強さを発揮するのかを。
これは、誰よりも不器用で、誰よりも真っ直ぐな少年が、積み上げた基礎だけで世界の常識を塗り替えていく物語。