あらすじ

田中隆志、四十歳。自動車メーカーの営業部長。 ある日、部下十二人のリストラを告げる役目を命じられる。 一人ひとりに朱印を押し、面談室で通告を終えた直後—— 自分自身の名前が、同じ書式の名簿に載っていた。 娘のみゆきは先天性の心疾患を抱え、海外での手術には二千万円以上が必要。 妻の智子との関係は冷え切り、百社に履歴書を送っても「年齢がネック」と門前払い。 四十歳の元部長に、日本の再就職市場は冷たかった。 すべてを失いかけた隆志の前に現れたのは、ケニアからの留学生ジョセフ。 「日本の中古車がケニアの命を支えている。でも、届く車の品質が悪すぎる」 その言葉が、隆志の中で眠っていた営業マンの血を呼び覚ます。 単身アフリカへ渡り、現地の整備士サミュエルと出会う。 言葉も文化も違う赤土の国で、たった一台の中古車を徹底整備するところから始まった事業は、 やがて命を運ぶ搬送車となり、東アフリカ全域に広がっていく。 だが、道は平坦ではない。 闇市場を支配する日本人ブローカー・黒田の妨害。 メディアの炎上報道。コロナ禍による事業停止。 「正しいことをしていれば報われる」——そんな甘い話は、この大陸にはなかった。 娘の手術費か、従業員の生活か。 誠実さか、生き残りか。 何度も選択を迫られるたび、隆志の耳に蘇るのは、 娘が夏祭りで買った風鈴の、あの澄んだ音だった。 リストラされた男が、アフリカの大地で五百億円企業を築くまでの物語。

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小説を読もう2026/02/24
  • 現在の作品五百億の風 ~娘を救うため、ケニアで中古車王になった男~