あらすじ
百年前、異世界の兵器設計者が一言呟いた。
「軍艦にすればいい」
その言葉から生まれた陸上軍艦は今や世界の主力兵器となり、《ヤマト》の名を冠した戦艦を旗艦とした艦隊が大深淵の周りを巡回しながら巨獣を討ち続けている。
だが世界は艦隊だけでは守れない。連合軍が討ち漏らした巨獣、突発的に口を開く深淵から湧き出る個体。そういった取りこぼしを民間クランが始末する。英雄ではなく、帰る場所を持たない者たちが棺桶同然の陸上駆逐艦で走り続ける。
元軍人の艦長レックスが率いるクランは、訳あり揃いだ。命令に従えず軍を去った艦長。同じ理由で軍を辞めたエルフの操舵手。貴族の家を出て砲手として生きる女。古い機関に浪漫を見出すドワーフ。孤児院から軍へ、そしてこの艦へ流れ着いた衛生兵。軍の評価よりも素材の歩留まりを語る解体班長。数字を追うことに生きがいを感じる経理担当。多種族が共存する多民族国家で、人間も、エルフも、ドワーフも、獣人も、同じ艦に乗って今日も仕事をする。
連合軍の旗艦が英雄譚を紡ぐ陰で、報告書にも名前が出ない戦場がある。感謝もなく、記録もされず、ただ仕事をする者たちの話だ。
※ハーメルンにも投稿中