あらすじ
神の託宣がすべてを決める、倭ノ国・玉命(たまのみこと)朝廷。
大神官の娘・朱鷺(とき)は、没落した家を再興するため、巫女として内廷に送り込まれる。そこは、優雅な装束の裏で「呪い」と「祟り」を隠れ蓑にした陰謀が渦巻く魔窟だった。
側妃の怪死、消える貢ぎ物、そして夜ごと響く鬼の声。
誰もが「神の怒り」と震え上がる中、朱鷺だけは冷徹に、夜空の星を指でなぞり、算木(計算道具)を弾く。
「星は嘘をつきません。そして――数字はもっと正直です」
計算が導き出すのは、神の怒りではなく、人間の浅ましい殺意。
渡来人の血を引く孤独な若き武官・迦楼羅(かるら)を相棒に、朱鷺は古代の闇を「理(ことわり)」で切り裂いていく。