あらすじ

侯爵家の令嬢アリシアは、三年間、王太子クラインの婚約者として完璧に振る舞い続けてきた。好みの料理を覚え、苦手な勉強を手伝い、感情を殺して笑顔を貼り付けて。 それなのに、建国記念の大舞踏会の夜、クラインは大勢の貴族が見ている前でアリシアに告げた。「君は冷たすぎる。人の心がないようだ」――そして男爵家の娘ソフィアの手を取りながら、婚約破棄を宣言する。 アリシアは泣かなかった。喚かなかった。ただ一点の乱れもない完璧な礼をして、静かに会場を去った。 傷ついていないわけがない。でも、涙が出なかった。自分が少し壊れているのかもしれない、と思いながら。 父の勧めで、北の故郷ヴァルトハイム領へ向かったアリシアは、領地経営の仕事に没頭する中で久しぶりに呼吸が楽になるのを感じる。そこへ現れたのが、「鉄の公爵」と呼ばれる北の名門エアハルト家の当主、レオンハルト。感情がなく冷酷と噂される彼は、しかしアリシアを「冷たい」とは見なかった。 「私には、冷たく見えません」 感情表現が苦手な二人が、雪深い北の地で少しずつ距離を縮めていく。一方、王都ではクラインとソフィアの関係が暴かれて炎上し、玉の輿を夢見ていた二人は王室の反対にぶつかることになる。 氷の令嬢と鉄の公爵。互いの前でだけ、少しずつ溶けていく二人の、静かな恋の話。

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小説を読もう2026/02/24
  • 現在の作品婚約破棄、結構です──氷の公爵令嬢は溺愛される