あらすじ
古本屋の隅で気配を消して生きる氷室零は、神が二日酔いの勢いで創り上げたような絶世の美青年。
しかしその本性は、極度の自己肯定感ゼロ男。自分の美しさを「他人を不快にする呪い」だと信じ込み、鏡を見ることを自傷行為と恐れるほど重症なネガティブの塊だった。
そんな彼を、借金まみれの弱小ダンス教室を営む現実主義者・佐倉結衣が強引にスカウトする。
結衣の目的は、零の顔面を「資源」として活用し、教室を立て直すこと。
零は、女性とホールドしては「僕の冷たい体温が彼女を凍えさせている」と絶望し、ステップを踏んでは「汚い僕から逃げたい」と身を翻す。しかし、その「必死の逃走」こそが、皮肉にも世界を魅了する華麗なステップと完璧なシェイプを生み出していく。
勘違いだらけのネガティブ王子と、彼を世界の中心へ引きずり出そうとする女帝。
二人のステップが重なる時、絶望は究極の芸術へと昇華する――。